7月12日(土) 西調布での夏の一日

おかげさまで、11thアルバムの録音が始まっています。(11thデモCDの残りも少なくなってきました。ありがとう。あ!買おうと思ってた!な人はお早めに。11thは大名盤の予感に満ちています。このデモはきっとプレミアムなお宝になる事でしょう)

今作はカニユウヤの提案で「11thは3会場で録りましょう。6/12に4曲、7/8に4曲、8/28に2曲です。」という流れ。
7/8の第2回は西調布にあるREIMEIというスタジオ。
着くと隣には小さな畑があって、とうもろこしの髭が揺れていた。
俺は昔、稲田堤(調布とは多摩川を挟んだ隣駅。2005年〜2012年まで。1st〜6thの多くの歌はこの時期の作曲)に住んでいて、調布の深大寺にあった鬼太郎茶屋でバイトもしてたので、この辺りは懐かしい。
あの頃の懐かしさを感じる為に、この辺が舞台のつげ義春の中期後期作品を定期的に読んだりするくらい。
最近は恋人が多摩センターに住んでいるので、カブで向かう時にもこの辺りはよく通る。
少し前まではなんとなく悲しい感じがする懐かしさだったので、このエリアは敬遠していたが、今では明るい懐かしさ。
気が早いが12thアルバム収録予定の「経堂駅」という歌の頃には、まだ少し悲しさが残っていたようで、ホームから見える多摩丘陵方面を、悲しげに眺めたり眺めなかったり、といった感じの歌詞になっている。
この歌は2024年の2月7日作曲か。
11thを最高傑作にして、12thでサッと越える予定。
REIMEIの初めましての店長さんにも「お疲れ様でした。録音良い感じでしたか?」と聞かれたので「今日で確信しました。最高傑作になると思います。でも来年出る12thでサッと軽やかに越える予定なので、残念ながら1年間の王者ですね。店長さんはさすがに調布好きですよね?レテパの5thアルバムのジャケは調布飛行場で撮ったんですよ。あとややこしいけど6thアルバムの収録曲に調布飛行場という歌がありますよ。なんだこれ?今考えると本当にややこしいジャケだなあ、5thと6th。まあでも最高の11thになりますよ。期待して待ってて下さいね!」と興奮して一方的に捲し立ててしまった。

今回の4曲も仲良くいっせーのせで録音した。
終わった後、カニがギターを重ねると言うので、俺と南ちゃんとヤックンはロビーで過去の恋愛について総括していた。
ハジメちゃんが見当たらないな、と思ったら、録り終わったカニと共にビール片手に恍惚の表情で出てきた。
俺が「なんだ、カニギターを肴に飲んでたのか。嬉しそうな顔して、生粋のミュージシャンだなあ、ハジメちゃんは。」と言うと「だってこんな間近でカニ録音を見れるなんてサイコーの贅沢だよ。」とご満悦。
俺が「音楽家の鑑だな。それに比べてこっちの2人は、、」と茶化すと、ヤックンが「俺だって見たかったけど、あんまり人がたくさんいると邪魔かと思って遠慮したんだよ。ちぇっ。」と言っていたのが、THEヤックンという感じで面白かった。(ちぇっ、は俺にだけ聞こえた妄想です。実際には発していません)
南ちゃんは「私なんかには芸術よりも恋話がお似合いですよ」という顔をして微笑んでいたが、その1時間前には「ピアノの音を重ねる南ちゃんをヤックンが間近で見て部屋から出てきた。俺はやはりロビーにいた」という同じようなシーンがあった。
その時ヤックンは「改めて気付いたけど、南ちゃんって凄い事やってるんだなあ。」と愕然としつつも微笑していて、やはり素敵な表情だった。
まあ、こう書くと俺だけがミュージシャンじゃ無いみたいですね。
でもそれで良いんです。ナイスバランス。
なんて素晴らしい5人だ。

エンジニアの馬場ちゃんの機材車に乗ってカニは帰ったが、いきなり窓が壊れて閉まらなくなったらしく、窓全開で2人は夏の夜へと走り出した。
見送りながら、多摩の夏だなあ、と思った。

2025年7月12日
古宮大志

PS.あ、あともう一つ11thエピソード。
冒頭に書いた11thの古宮大志宅録デモ。
これはメンバーに聞かせる為だけに録ったデモで、みんなののびのびとした演奏やアレンジの邪魔にならないように、歌が出来た瞬間に備忘録的に歌ったやつをそのまま収録している。
なぜか歌は起床直後、起きた瞬間、に出来る事がほとんどなので、寝起きのガラガラ声で歌っている。
なるべく色の無いゼロの状態でみんなに渡しているつもりだが、それでもたまにハジメちゃんが「いや、ダメだ。まだひろしデモを超えてない。」なんてピリピリしているのが、頼もしい。
過去作の時にも録音資金調達の為にデモを販売していたので、聞いた人は分かると思うが、このデモからこんな演奏になるんだ!と感動すると思う。
でも曲順だけはこのデモのままになる事が多い。
記憶が曖昧だが、変えた事はほとんど無いんじゃないかな?
あったとしても1曲だけ入れ替える、とかのレべルだと思う。
うん。毎作曲順はデモの時点ですでに決定しているのです。
なのに、今作はめちゃくちゃ変わりそうです。
6/12の第1回録音終了時にハジメちゃんが「1曲目ホンダにしちゃダメかな?」と連絡してきた。
俺は「気持ちは分かるけど、それだと全体の流れが上手くいかない。」と反論した。
でも、第2回録音が終わって、考えが変わった。
というか、新しい曲順がパーっ!っと閃いた。

こんな事は初めてだ。(アルバム曲順にこだわりが無いバンドには意味不明な話でしょう。でもレテパシーズにとっては最重要事項なので、この大胆な曲順変更は革命的)

デモの曲順

1.the world is mine
2.愛してる
3.さよならの合図
4.SAIL AWAY
5.若いバンド
6.真鶴漁港
7.岩見沢デパート変遷史
8.ホンダ
9.おるたな
10.次回予告なホーリーナイト

革命的新曲順

1.ホンダ
2.さよならの合図
3.the world is mine
4.愛してる
5.若いバンド
6.真鶴漁港
7.岩見沢デパート変遷史
8.SAIL AWAY
9.おるたな
10.次回予告なホーリーナイト

書いてるだけでワクワクする。
よくグルメリポーターが「匂いだけで白飯何杯でもいけますわー。」とか「(まだ口に入れてないのに。箸に食材を持っただけの状態で)もう美味い!」なんて言っていますが、それに近いな。
「タイトルと曲順だけでもう大名盤!」といった感じ。
引き続き、我々の何もかもをお楽しみに。

PS.あ、今日は7月12日だ。
名曲「7月12日、13日」は4thアルバム「ブルースマン」収録です。
2009年だから16年前か。もっと昔な気がするな。
この7月12日、13日の2日間、さっき出てきた「ホンダ」のホンダさんとずっと一緒にいたのでした。

今日は夕方からお留守番の子守。
あの4thアルバムのジャケの熊の人形は、今では息子のオモチャになっています。
「熊のレビューだ!ヤッホ!」と歌って踊ってレビューをやってやると、いつでもキャッキャと喜びます。
あんな壮絶なアルバムのジャケにされた熊ですが、今ではこんなに丸くなって、普通の人形としての人生を全うしています。