6月13日(火) レテパシーロックフェスティバルの帰り道

帰り道、小雨の降る中、新宿駅まで歩いた。
家の電気スタンドとラジカセを持ち込んでいたので、いつもよりも相当重く「俺はなんで電気スタンドとラジカセを持ってきたんだろう?」と改めて考えてみた。

自分は脚色は嫌いなので、レテパシーズのライブの照明は白一色で調光すらさせない。
それなのに、なぜ会場の明かりを電気スタンド一つ、BGMをラジカセにしたのか。
脚色はあんなに嫌いなのに。
という事は、自分では脚色のつもりではないのだろう。

駅が近付き、靖国通りの信号待ち。
横には、ヤハタ、カニ、南。
話半分、雑多な新宿を眺めていたら、ああ、そうか、と答えが出た。

あの電気スタンドの明かりとラジカセは、俺が眠る瞬間の部屋そのまま。
一番安心な瞬間か。
安心な自分の部屋のようにしたかったのでしょう。
レテパシーロックフェスティバルを。
部屋ではいつも一人だけど、今夜は誰かを招きたかった。
一番安心できる場所に。

そう考えると、合点がいきました。
静かな安心できる場所の横で大きな音でライブする。
うん、自分の人生、性格、そのものだなあ、と思います。
そして、続けてこんな事も思いました。
大きな音のレテパの演奏が、いつか無音と同等の静けさを持てた時、このバンドは誰も見た事のない場所に行けるのだろう。
ロックンロールさん、頼みますよ。
まだ隠し部屋があるんでしょう?
こんな事を思って、靖国通りを渡る。

そしたら、向こうから、さっき別れたばかりのひっしーが。

「なんか忘れ物ですか?」
「ええ、傘忘れましたわ、、」

うまく伝わるかな?
さっきちゃんと「また会いましょうね!」みたいなしっかりとした挨拶をして、別れて、その5分後に傘を取りに戻っているところで会う。
が、彼は全くバツの悪い感じがゼロ。
生まれてきてから、数々の失敗を繰り返して来た男なんだろうな。
歌舞伎町方面へ逆戻りしていく彼の背中に、頼もしさすら感じました。
「最後までチッツしてやがる。さすがや。」と思いました。

カニ君との会話に戻り、

「昨日の万波から伏見寅威へのバックホーム見た?」
「見ました。見ました。」
「土曜の神宮、チケット取ったの?」
「あ!まだだ。でもオリックス人気無いので大丈夫かと。」
「ヤクルトも今年は客少ないしね。」
「では、また!」
「はい!お疲れ様でした。」

新宿からはそれぞれの帰路へ。
家に着き、部屋がいつも同じ状態じゃないと落ち着かない、ので、疲れていたが、まずは原状回復。
電気スタンド、ラジカセ、を部屋の定位置に戻して、安心して、おやすみなさい。

こんな、帰り道。

皆さん来てくれてありがとう。
安心できたでしょうか?
俺は僕のレテパシーズに自信を持ってはいるが、それを超えて悲しい日ももちろんあります。
なので、やはりレテパフェスに来てくれると一番の励みになります。
第3回もがんばんなきゃなー!と思えます。

安心、安心、書くと、なんか傷の舐め合いみたいなフェスに思われるかな?
この安心は、山賊が狂気な日々を過ごした後の洞穴の安心です。
狂気は狂気で元気ですよ。

では、第3回で会いましょう!
(日にちも内容も未定だが、昨日から考え出しています。ワクワク。)

PS.ライブ後はすぐに「蛍の光」をラジカセで流しました。
あの蛍の光は2016年頃のレテパの登場SEでした。
あの頃、メンバーでSEを考えていた時に「蛍の光はどうだろう?普段は終わりに使われる歌だが、終わりは始まりという意味で、俺達にピッタリなのでは?」と提案したら、アディーが見つけてきました。
コロンビアレコードの古い蛍の光。
途中で入るスチールギターのソロが戦前しててカッコいい。(戦前じゃ無いかも。勝手に戦前感じてますが。)

面白かったのは、ライブ直後に楽屋で放心していたら、楽屋から出た南ちゃんが「人がもう全然いないですー。みんな帰っちゃってますね。古宮さんが蛍の光を流したからじゃないですかー?」と笑っていた事。
俺は心の中で「ああ、そうか、俺には始まりの歌だが、皆さんには閉店の歌に聞こえるよな。あはははは。」と笑いました。
今回は「飲みたい人はゆっくり歓談してね。レテパの通なお客さんは「ブルースマン」の歌詞の影響か、サッと帰る人が多いけれど、あの歌のせいで残りたい気分なのに残りづらくなっていたらごめんなさい!全然ゆっくり歓談してて良いからねー!」と伝えようと思っていたのに、忘れていた。

あれは、始まりの歌なのです。
多分次回もかけます。
閉店じゃないので気にしないように。