12月10日(火) アルバム全曲紹介「深海」編

「深海」は3rdアルバム「永遠に、たまに」の1曲目です。
このアルバムは2017年夏に録音しました。

前年の秋にキーボードのユキコが抜け、その後、ギターはなえもんも抜けると言い出したが、アディー、いーちゃんの二人が止めて、残る事になってのアルバム録音。
俺はボロボロだったらしく、6月に病院に連れてかれて、医者や自助グループに言われるがままの治療をしていたが(ライブがキャンセルになるので入院は拒否したのだから、完全な言われるがままでは無いが。)ライブがうまくいかなくなり、4本最悪のライブをした。
ミスターワンテイクと呼ばれるほど、一発OKが好きなタイプですが、このアルバムは一度歌ったボーカルが気に入らず、全部録り直した。
録音初日に全曲歌い一度OKを出したのに、2日目に聞いてみたら全然ダメで全曲録り直した。
テイクが良くない事よりも、こんなテイクに一度OKを出していた自分にショックを受けた。
なんでOKと言ったのだろう、自分の感覚が狂ってしまったのか、と怖くなり絶望した。

録音は泊りがけで、2日目はコーラスとか後録りの部分の予定だったと思うが、俺はボーカルを録り直したいと言い、みんなはいつも通り一発目ので全然良いと思う、と言ったが、もう一度歌った。

1曲目「深海」を歌い出すと奇跡的に(自分ではコントロール出来なくなっていたのだから、悲しいが、奇跡、だ。)前のように歌えた。
まわりもすぐにわかってくれたみたいで、そのまま10曲止めずに一言も話さずにぶっ続けで歌わせてくれた。

前日使った録音用のマイクでは無く、買ったばかりのライブ用のマイク(NEUMANN105)を使った。
初めて使ったので、今までのマイクと同じように持って歌っていたら、持ち方が悪くミュートバースト?みたいな状態になっていたみたいで、少し特殊な音質になってしまった。
が、これ以上はもう無い、と判断しOKを出した。今でもOKだと思っている。

俺も、アディーもいーちゃんもはなえもんも、ボロボロだったんだろう。
このアルバムには悲壮感が漂っている。
10曲目「永遠に、たまに」はエンドロールのように優しい。悲しい映画。だから、美しいラスト。

アルバム録音後、はなえもんはミックス作業の途中で脱退した。
アディーはアルバムを完成させ、レコ発ワンマンを最後に脱退した。
いーちゃんと俺はそのまま残り、ボロボロのまま4th「ブルースマン」制作に向い、完成後いーちゃんは脱退した。
俺は今、元気一杯ノリノリで、来週には5thアルバムの録音が始まります。

というわけで、解説。

「深海」は2016年に出来た歌で、歌の通り北海道三笠市にある博物館に行った時の歌ですね。
三笠市は南空知にある炭鉱町。
炭鉱が終わった後は、化石が採れるので、それで町おこしをしています。
小学生の頃、隣町の月形町に住んでいた俺は、化石掘りに夢中になり、三笠の山や河原(幾春別川、周りには炭住の赤い屋根が並んでた。)で貝や葉っぱや、時にはアンモナイトの化石を見つけたりした。
見た事の無い化石を見つけると博物館に持って行き、博士達に「もしかして新種じゃないですか?歴史的大発見では?」なんて質問していた。
博士達は優しかったが、俺の親戚には博士達の敵の商売系アンモナイトハンターの大物がいた。俺は博士達と学術的な話をしながらも、心の片隅では一攫千金を夢見てしまう自分もいて、チビッ子なりに葛藤した。

三笠市は化石掘り以外にも縁があって、父方の祖父、古宮喜一は戦後、美深で農家をしていたが脊椎カリエスになり、転職を考えていたら、空知地方が炭鉱で盛り上がっていて、そこでなら商売を始めたらすぐに上手くいくという噂を聞き、近所の豆腐屋で1週間修行をして、そのまま三笠に「古宮豆腐店」を1956年に出店させて、3人の子供を育て上げた。(閉山後は栗沢町に移転。今は「角」という蕎麦屋になっている。)

2015年冬、札幌でのライブのついでに帰省し(今実家は岩見沢。これまた三笠の隣町。)その時に久し振りで博物館に寄りました。
頭がクラクラするほど暖かい博物館のロビーの窓から見てた景色です。

「深海」

ここは昔 深海だったから アンモナイトの化石がとれるんだ
三笠市立博物館の窓から 潜水艦みたいな ぶ厚い窓から見てる

無音の雪はあの頃の海だね
無音の雪はあの頃の様だね

深海 僕にはなぜだか懐かしい
なんでだろう さようなら 全部

3rdアルバム「永遠に、たまに」収録
(2016年作詞作曲)

PS.この歌は歌った後、もう一周歌無しで演奏が続く。
これを後奏と思わずに、むしろ歌が前奏で、歌無い所がメインだと思って演奏しよう、とメンバーと話してた。
どうかな?うまくいったかな?聞いてみてね。

PS.その時の写真。炭住(炭鉱住宅)の赤い屋根と私。
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PS.古宮豆腐店。七が三つで喜。古宮喜一の喜。
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PS.5thアルバム録音前の最後のスタジオが終わりました。
皆さん自信満々です。
(上記の、はなえもんミックス途中で脱退、のレテパを救ったのがギター高野京介だ。超短い時間でワンマンのセットを覚えてくれて「永遠に、たまに」レコ発は素晴らしいライブになった。)
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左から
ハダユキコ(キーボード)
高野京介(ギター)
関口萌(ドラム)
タカユキカトー(ベース&レコーディング担当)
がんばろー!

PS.薄々勘付いているでしょうが、俺は外国語の歌をほとんど聞かずに育ちました。(ポーグスくらいだ、聞きまくったのは。)
道民の方は懐かしいでしょうが、中学生の頃「まる音スーパーデラックス」という外人のバンドのPVばかり流すテレビがあり、毎週録画して見てた。
バンドを見ても歌詞にしか興味の無かった俺には、外人の歌はほとんど入ってこなかった。
が、当時珍しく気に入って、ビデオを何度も巻き戻して見てたPVがある。
暗い中でピエロ?が太鼓叩きながら歌ってたPV。

俺は思い込みが激しい方だと思う。
一度思い込むと、それをしないと全てが終わりのような気がしてきてしまう。
最近は少しはマシになってきたが、先日テレビでこのPVが一瞬流れ、何事かと思ったら、キッス最後の来日、との事。
「デトロイトロックシティー」という映画(キッスのコンサートに行く為にキッズ達が奮闘する。)も好きだったし、得意の思い込みで「最後のキッスも見ないなんて、嘘つきのイカサマ人間だ。」となぜか激しく思い込みだした。
「ハードラックウーマン」以外の歌はほとんど知らなかったし、そもそも家には11月分の家賃しか金が無い。
が、買ってしまった。地獄のスタンド。2万円。家族二人で4万円。すまん大家、年内にまとめて払います。
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