10月12日(木) バイトマンバンドマンブルース

レテパNEWS、ずいぶんご無沙汰になってしまいました。
前回書いた「歌う事に決めたのは高度1万メートルだった」に今伝えたい事を全て書いたので、それ以上書きたい気分にならなかった、というのもあるのですが、単純に忙しく、ゆっくり文章を書く時間が無かった。

2019年2月に酒問題でたこ焼き屋のバイトをクビになって以降、アルバイトをしていませんでした。(いわゆる売れないバンドマンなので、ずっと労働しながら活動してきた)
高校を卒業し、2001年の春に岩見沢から札幌に出てきて、フリーターの一人暮らし。
それから18年、さまざまなバイトを経験しました。
仕出し屋、コンビニ、掃除屋、警備員、スープカレー屋(札幌ピカンティ)、auお客様センター、鬼太郎茶屋(調布市深大寺)、動物病院、リサイクルショップ、たこ焼き屋。
そして2019年2月、たこ焼き屋もクビになり、バンドもアルバム作り(4thアルバム「ブルースマン」制作中だった)もアルコール依存症による心身衰弱&錯乱で崩壊寸前、借金も限界を超えていて、いわゆる「底つき」を再確認、2度目の本格的なアル中治療に入りました。(おかげさまで4年8ヶ月断酒続いています。たまに勘違いされるから書くが、ライブ中に飲んでるのはノンアルです。ご心配なく。ありがとう)

その後、幸運な事に、高円寺の古い空き家に住める事になり、家賃がかからなくなりました。(妻の祖夫母が住んでいた家。7thアルバム「クレイなジー」収録曲「コロナの頃なら」で歌っています。ちなみに「さよならの合図」のおばあさんとは別のおばあさん)
そこの駐車場を中古電動チャリ屋のおじさんに貸して収入を得たり、思いがけない大きな臨時収入が続いたり、と、歌い出してから初めて、何年もアルバイトをしない生活を経験しました。(あ、一時期運動不足解消の為にウーバーイーツの配達員をやってたか。ウーバーは今までの人生で3本の指に入るくらい夏を感じられた。良い思い出)
そして今までの賃貸アパートと違い、大きな声で気兼ねなく歌えるのも影響したのでしょう、この家に住んだ2020年の春からの3年半で50曲(レテパで言うと7th〜11thアルバム収録曲)も歌が出来ました。

①「断酒も続いている」
②「歌もたくさん出来る」
③「ライブもシラフで良いライブが出来ている」(2017年の1回目の治療時はこれがクリア出来なかった。シラフで会場に着くと「なんでこんなとこで歌わなきゃいけないのだろう」と思い、ライブが始まっても「こんな人達の前で歌ったってなんの意味も無い。死ね。死にたい。」と思いながら歌っていた。端的に書くと断酒起因の鬱状態だった)
この①②③がバッチリ出来ているのに、なんでまたバイトをしなきゃいけないのか、これが全てなんだから、バイトなんてしなくて良いはずだ!良いアルバム、良いライブ、が出来ている以上はこの生活を続ける権利がある!と迷い無くノリノリで前進あるのみ状態でした。
なので、昨年妻が妊娠した時も「どう考えても、子供にかかる金は一銭も出せそうに無い。今の良い状態を崩したくない。だから、産まれるまでの金も産まれてからの金も全部そっちでなんとかしてくれ。その代わり家事は全部俺がやります。」と伝え、後で揉めないように正式に約束してもらいました。(我が家は金銭を完全に別にしている。なので俺がどんな状態にあっても妻は俺に一銭も貸さない。共依存防止)
しかし、今年の初めあたりにはとうとう金が底を付き、そろそろ限界か、と思いながらも、また消費者金融(2ndアルバム「愛してるよ」収録曲「ロックンロール」でも歌われてますね)それも足りなくなり、中古自転車屋のおじさんに「あと3年貸すので3年分の場所代をまとめて払ってくれませんか?」とダメ元で言ってみたら、快くOK!そんな感じでだましだまし過ごしていました。(クラウドファンディングもありがとうございました。これは9thアルバム「RADIO LETEPA」の制作費に使わせて頂きました。残った分は10thアルバムのアレンジの為のスタジオ代に使わせて頂いています)
そして何よりも「RADIO LETEPAが夏に出る。これが評判になれば何とかなる!」と思う事にして、現実逃避しておりました。(音楽で収入を得られる時代じゃない、とは思っていません。むしろレテパのような無所属で、しかも飛び込むジャンル、シーン、も見当たらないバンドには好都合の時代です。ただ、まだ数年はかかる山登りなのが現実。その「現実」から逃避していた、という意味です。2020年代のサブスク乱世は大好きです。山賊気分。楽しい)
が「RADIO LETEPA」による収入は制作費にも遠く及ばず、、(良いんです。分かってた事です。もっと長い目で大きな山を見てるんで大丈夫です)

前置きが長くなりました。
冒頭に書いた「レテパNEWS、ずいぶんご無沙汰になってしまいました」「単純に忙しく、ゆっくり文章を書く時間が無かった」のは、アルバイトを始めたからなんです。(週4だ!)

いまさら、
「ええと、コミヤタイシさん?」
「あ、分かりづらくてすみません、、フルミヤヒロシです。」

「バンドマンなんですって?夢追ってるって素敵ですよね。応援しちゃいますよ!うちにはバンドマンや芸人の卵がいっぱいいますからね。きっと仲良くやれますよ。フルミヤさんはどんなジャンルなんですか?」
「ええと、うーんと、まあ、普通のよくある編成のいわゆる普通のバンドって感じっす。」

みたいな、やり取りをするのはめんどくさいなあ(まあ、意外と平気で出来るんですが。そしてどのバイトでも優遇、厚遇される傾向にある。多分仕事が出来る方なんだと思う。どこでも優しい扱いを受ける事が多かった)と思い「来月になったらバイト探すぞ」と言いながら早数ヶ月、、が経ったある日、ひょんなキッカケでとある喫茶店のバイトを紹介されたのでした。
その喫茶店はご夫婦でやっていて、しかもその店のマスターは歌手で俺も昔何度か共演していて、分かりやすくゲスな書き方をすると「負けた!」と何度も思わされた素晴らしい人だったので、社会復帰するならこのバイトしか無い!と覚悟を決め、お願いする事にしたのでした。

働き出して、早1ヶ月、思っていた通りの素敵なバイト先で、本当に楽しく労働させて頂いてます。(チャボ?キヨシロー?のどっちかが昔「週4超えたら仕事になっちゃうからね、バイトは週4までだ!」みたいな事言ってたから、教えに背かず週4です)
ただ、週4でバイトしてみて分かったが、時間が一気に無くなりますね。
まあ、しょうがない。
10thアルバムの制作資金が無いんだもん。
稼ぐしか無いよ。がんばります。

というわけで、今後レテパNEWSやレテパツイッターへ文章を書く回数が露骨に減ると思います。
が、そのかわりアルバムを出すペースは落とさないつもりです。
まあ、歌が全てだから大丈夫。
レテパシーに触れたい時はアルバムを聞いて下さいな。
そして、今言いたい事は「11/25のレコ発はぜひ目撃を!」のみなので、ちょうど良い。
もう来月ですよ。
11/25!新宿Marbleで会いましょう。

PS.レテパツイッターでお知らせしていますが、レコ発ライブのチラシを手に入れて当日会場に持参すると「RADIO LETEPA缶バッジ」が貰えます。
チラシ、都内を中心に色んなお店に置かせて頂いています。
本当にありがとうございます。

PS.前作8thアルバム「エンデンジャードスピーシーズ」(これは「絶滅危惧種」という意味です)のレコ発ライブは、大阪でも開催しました。
とても楽しかったし「9thの時もまた来ます!」みたいに言った気もします。
が、悲しいけど行けません。ごめんなさい。
そちらから来てくれたら嬉しいです。(もちろん他の遠方の方々も)
絶対に素晴らしいライブにするので。

PS.「最近発見したカッコいい人々紹介コーナー」
※唐突に思われるかもですが、素敵な人を発見した時は勿体ぶらずに大騒ぎしよう!という方針で生きています。
ので、たまに大騒ぎします。

「THEドイ」(「犬丸二」も)
知ってから毎日聞いています。
ライブもカッコ良かった。大好き。
繊細で不安定な人がキラキラ(時にはイライラ。それも良い。)しているのを見ると、感動する。
喜怒哀楽全部に平等に付き合ってる感じがする。それはとても大変な事。偉いよ。すごい。
そして、いつか平気な顔をして喜怒哀楽の向こう側ですらクルクル回りながら歌ってしまうのでしょう。
そういう状態の事をディーバっていうのかもね。本当は。

「のりもの」
俺は昔からこの3人のファンだった。
ので、この3人が新しいバンドをやっていると知ってすぐに見に行った。
案の定すごかったし、その頃モヤモヤと思っていた事を一瞬で解決してくれた。
俺達は正しい。
※「その頃モヤモヤと思っていた事」

「初めて、パンク、ロック、ブルース、とかの伝説を聞いた10代の時とかに、自分の暮らす平凡な世界と比べて遠い出来事のように感じてたんじゃないの?お前。でも今お前はようやくちゃんと辛くて暗い世界で虐げられてるじゃん。サイテーの暮らし。なのになんで、そんな自分と無関係な歌しか歌わないんだろう?せっかくようやく絶望の先の(明るさでも暗さでもそれはどっちでも良い。同じ事だから。)歌を歌える状態になったのに!せっかくここまで来たのに!変だよ!もったいないよ!」と、何人かの昔カッコよかった友人達の現在の歌を聞いてモヤモヤしていました。
どうしても嘘の茶番に見えてしまい、モヤモヤ分からなくなっていた。
なぜだ?と。
明るくても暗くてもどっちでも良いからさ、輝いてよ、と思ってました。
パンクもロックもブルースも、ジャンルやスタイルじゃなくて、ただの現象じゃん。状態じゃん。
お前はそんな事絶対に知っているはずなのに。なぜだ?分からん!何がどうなったらこうなる?と。(その後思った結論を書くと「歌う事をやめる」という選択肢が欠如してしまうとそうなってしまうのかな?と思いました)
が「のりもの」は俺と同じ世界を見てて、俺と同じ土の上に、俺とは違う芽を出して、3輪の可憐な花を咲かせていた。(最近発見、では無いが、先月久し振りに見た「メシアと人人」にも同じ事を思った。ドキドキしながらボーカルの人に熱い思いを伝えたら「うちら今日はあんまり良くなかったでえ」なんて関西弁丸出しで仰っていましたが。俺はとても感動したよ)

近年はサブスクで色々聞いて、グッときたら必ずライブを見に行くようにしています。
その際はなるべくドラマチックにしたいので、歌とジャケ写以外の情報は極力未知の状態で当日を迎えます。
ドキドキ!キャー!出たー!わー!こんな顔かよ!素敵!ってな感じで、メンバーが登場するだけで、ドラマチックに鳥肌まで立ってしまうのです。
でも、時給1100円の労働を始めると、貧乏臭い金銭感覚も復活するみたいで、ライブハウスのチケット代って高いなあ、と最近改めて思います。
誤解無いように書くと、3000円+ドリンクで3600円も払うんだから、出演バンド全部とはいかないまでも、せめて半分は素敵にしてくれよ、と思う。(せめて2組でも素敵なら全然安いと思う)
いくら、ドラマチック状態とはいえ、お目当てのバンドが30分の演奏で、他の3組がボロボロじゃあ、なかなか悲しくもなる。
その点、先月見に行ったPASSiON RECORDSのイベントは素敵なバンドがたくさん出ていて嬉しかった。
でも、なんか自分が不安定だったのか、疎外感的な気分がその後何日も続いた。
そんな落ち込みモードのある日、ふと思い出したんだけど「ロックンロールじゃ踊れない」ってこんな気分の時に出来た歌だったなあ、と思った。
「あはは。もう歌ってんじゃん、やるな2010年の俺。サンキュー。」と思ったら救われた。
自分は昔から本当に落ち込んだ時はレテパシーズのアルバムを聞きます。(レテパすら疑いたくなるくらいに落ち込んだ時、レテパを続けるか確認する為かもしれません)
この前は7thアルバム「クレイなジー」を久し振りに聞きました。
とても良くて元気が出た。全然大丈夫じゃん!問題無し!と思えました。

他にも書きたかった最近カッコよかった人々もいるけれど、もう時間切れ。
長くなるのでまた今度。丁寧に書きたいしね。
俺は時間に追われる労働者。(今「週4のくせに!」と思ったあなた!いいね。鋭い。)
売れないバンドマンはつらいぜ。
さあ、勝負はいよいよここから。バイトマン、バンドマン。
楽しく颯爽と山登り。がんばろう。