9月10日(水) 親愛なるハイコーフェスへ

来週はいよいよハイコーフェスですね。
先日、主宰のシンドーさんが文章を書いてくれたので、読みました。
読んでいると、オレンジ色の明かりが遠くに浮かんで見えてきて、それはハイコーの体育館の明かりの色でした。
正直に書くと、ハイコーフェスに出てた頃、特に最後の3年間は、アルコール依存症の影響で、ほとんど記憶がありません。
でも、今思い出すあの体育館の明かりは愛おしくて懐かしい。
夏の終わりの東京から、秋の始まりの秋田へ。
リハをする為に、前日の朝に東京を出て高速を北へ8時間、暗くなった田沢湖を周り、田んぼ道に入り、コスモスが揺れる砂利道を少し行くと、あの体育館の明かりが見えてくるのです。
懐かしい明かりは冷たい空気で冷やされていて、はだしで歩く体育館も秋の温度で気持ちが良い。
そして、1年振りに会う子供はずいぶんと大きくなっていて、1年振りに会う大人は少し小さくなっている。
そんな愛しい、風景のような思い出しか覚えていない。
でも、その風景達は確実に俺の命やレテパシーズを救いました。
2017、2018年のラストの2回の頃はとても追い詰められていた。
ハイコーフェスが無かったら全て終わっていたと思います。

俺は2018年のハイコーフェスの半年後、酒の治療を始めて、少しずつ復活してきて、60曲の新しい歌が出来ました。
「青春」という歌が出来た時は歌詞に「廃校」という言葉が出てきて、ハイコーフェスの事を思い出しました。
新しい旅がこの歌から始まった気がして、そしてそれはハイコーフェスのおかげな気がして「この歌、ハイコーで歌いたかったなあ。ピッタリな歌なのに。」なんて思ったのを覚えています。
この60曲、7thアルバム〜10thアルバムまでで、40曲は無事に発表する事が出来ました。
11thアルバムの10曲は先日録音が終わりました。
来年作る予定の12thアルバムで60曲、今ある全ての歌の録音が終わります。
区切りの気分なので12thアルバムは「最後のアルバム」と名付けようと思っています。(12thアルバムは2024年頃に出来た歌達なので、生まれたばかりの息子の歌も多いです。でも離婚もして、新しい恋人の歌も入ってきたので、12thはなかなか混沌としてて面白いです)

レテパシーズ、すごいライブをすると思います。
ハイコーの皆さんは「わーすげえじゃん。俺達のおかげだな。ありがたく思えよレテパ。」と微笑んでやって下さい。
本当におかげ様なのです。
2018年のラストの時、前日の夜のリハで体育館の明かりが見えて来た時、俺はもう悲しくて嬉しくて泣いていた。
死にたくて死にたくてしょうがなかった、けど、残さなきゃ、と思えたのは、あの体育館の明かりのおかげ、あの時あれが俺の微かな微かな前方の光だった。

シンドーさんも書いてくれてたけど、俺も、もう一生そんな事は思わないと思うけど、もし思っても言わないと思うけど、2025年9月15日のハイコーのレテパだけは「僕らのレテパシーズ」って素直に思えるよ。

たくさん歌いたい歌があるし、シンドーさんは相変わらずとんでもない量のリクエストを送ってきたし、時間が無いから当日はほとんど喋らずにどんどん歌うと思います。

なので、ここで書いておきますね。

ただいま。ありがとう。ハイコーフェス。
あなた達がいなければ、あなた達が信じてくれなければ、俺は終わってた。
そして、レテパシーズは今、全盛期です。
でもハイコーはこれで最後なんだって。
だから、お互いに悔いのない30分を過ごそうね。
永遠、愛、自由、勇気。
軽々しく使われてるそんな言葉達の本当の意味を、風景みたいに眺められたらいいね。
そんなライブをしたいと思います。
あのオレンジの光の体育館の中で。

愛してるよ。

2025年9月10日
古宮大志